研究 Copy Copy of 東京医大リウマチ膠原病内科


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━━━関節リウマチの病態形成における新規シトルリン化ペプチドの同定

 ペプチド中のシトルリン残基はpeptidyl-arginine deiminases (PADIs)による翻訳後修飾により創出される。PADIsのサブタイプであるPADI4はRAの疾患感受性遺伝子である(Nature Genetics 34(4)、395-402,2003)。また、抗CCP抗体はRA発症前から血中に検出されることがオランダから報告されている。従って、シトルリン化ペプチドに対する免疫寛容の破綻はRAの病因・病態形成に重要な役割を有していると考えられる。
 生体内に存在するシトルリン化抗原としては、シトルリン化フィラグリンやシトルリン化ヒストン(生理的に皮膚や細胞核中に存在)、アポトーシなどで出現するシトルリン化ビメンチン、炎症組織に出現するシトルリン化フィブリンなどが知られているが、どのシトルリン化ペプチドもRA特異的ではない。関節リウマチ特異的なシトルリン化ペプチドとしては、これまでに関節液に存在するシトルリン化フィブロネクチン(Rheumatology 44(11):1374-82, 2005)やシトルリン化フィブリノーゲン(Ann Rheum Dis 65(8):1013-20,2006)、関節リウマチ滑膜組織のプロテオーム解析により同定されたCapZα-1などが報告されている。
 私たちはシトルリン化フィブロネクチンやシトルリン化フィブリノーゲンの疾患活動性との関連を検討するとともに、血清や関節液を用いてRA特異的な新規シトルリン化ペプチド探索を継続している。血中シトルリン化抗原がRAの早期診断や活動性判定に有用なバイオマーカーとして同定されれば、臨床的意義は大きいと期待される。

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